第172回親和会 講演会・総会・懇親会報告運営幹事:名古屋大学 教授 水口 将輝 (1998年応用化学卒) 2023年10月21日 (土)、第172回親和会総会・懇親会が東京大学本郷キャンパス山上会館において開催されました。今年は2019年以来の現地・対面開催であり、4年ぶりに多くの会員の皆様がご参集くださいました。 総会の前に、著名な卒業生にご講演いただくという企画で、東京大学先端科学技術研究センターシニアリサーチフェローの平尾雅彦先生 (元:化学システム工学専攻 教授) にご講演いただきました。平尾先生は、LCA (サイクルアセスメント) の第一人者の研究者として知られており、2023年4月に東京大学内に未来戦略LCA連携研究機構 (UTLCA) の発足に尽力されました。講演では、持続可能な未来を目指す技術革新や社会実装に焦点を当て、特にUTLCAの設立とその目的について解説いただき、最新の取り組みである「先制的LCA」について講義いただきました。なかでも、LCAがどのように化学工学の分野で進展してきたかを概観し、そのプロセスでの物質変換やエネルギー収支の理解の重要性についてご説明いただきました。また、環境への影響を減らすための循環型社会への移行の重要性、特にリニアエコノミーからサーキュラーエコノミーへの移行を目指す観点から、プラスチックやその他の資源の使用について言及されました。「エコバッグは使ってナンボ、持っているだけでは、かえって地球に負担がかかる」というお話は、大変実感できる内容でした。さらに、最新の取り組みである「先制的LCA」に焦点を当て、将来を見据えた環境影響の総合的な評価と、その取り組みの具体例を紹介されました。伝統的なLCAが「現在」の枠組みでの分析にとどまっている中、先制的LCAは将来社会へのバックキャストと現在の意思決定を繋げる点に特徴があるとのご説明がなされました。最後に、UTLCAが目指す活動として、多様な分野の研究者の協力を通じた技術イノベーションの推進、次世代人材の育成、さらにグローバルな視点からの課題解決が重要であることが紹介されました。われわれ親和会のメンバー自身も、これらの観点からできる活動を進めていくことが必要であることを感じされられるご講演となりました。 総会は事務局長の杉山弘和先生の司会のもと、進められました。森川会長から開会のご挨拶を頂いたのち、事務局の堀雅文氏による2022年度の事業報告・決算の報告および2023年度の事業計画・予算案の説明がなされ、審議の結果、満場一致で承認されました。続いて同じく杉山先生の司会のもと、懇親会が開始されました。乾杯の後に、津本浩平先生から化学生命系3学科の近況報告が行われました。工学部5号館の改修工事の完了や、社会連携講座の設置の流れについての報告がありました。また、2018年、2019年と低迷していた学科の志望倍率が2020年以降、どの3学科も上り調子であるという喜ばしい報告がなされました。続いて、尾嶋正治先生より、第7回親和会ゴルフ大会の結果報告がなされました。こちらも4年ぶりに昭和の森ゴルフコースにて開催され、石井浩氏が見事に優勝し、親和会会長杯が授与されたことが報告されました。堀雅文氏によるOBOG懇談会の予定についてご紹介がなされた後、2008年卒学年の企画・運営による恒例のアトラクションが開催されました。本年度は、太田誠一先生の司会により「細かすぎて伝わらない化学クイズ」が行われました。問題の難易度がみごとに調整されており、若手からベテランまでが心から楽しめる企画でした。第1問のシクロヘプタンの角度についてのクイズから、第5問のシリカ粒子の電子顕微鏡写真の中に隠された杉山先生の顔写真を探し出すという超難問 (?) クイズまでで勝敗が決められ、最後はジャンケン大会により順位が決せられました。優勝者には東大の特製泡盛「御酒(うさき)」が授与されたのをはじめ、他の入賞者にも豪華な東大グッズが授与され、みなさま楽しまれた様子でした。最後に、新しく化学生命系3学科に着任された先生方の自己紹介と、今年度の運営幹事の紹介、次期幹事 (1999年卒学年、2009年卒学年) のご挨拶があり、大久保達也副会長の閉会のご挨拶と一本締めでお開きとなりました。 4年ぶりに現地・対面開催された今回の親和会では、コロナ禍による空白の4年間を十分に埋めることができるような、懐かしくも新鮮な時間を過ごすことができ、あらためて本会の意義や伝統を感じされられる会となりました。今回の運営幹事は、1998年卒学年が務めさせていただきました。今後も、親和会への、皆様からの温かい御支援・御協力を賜れますと幸いです。
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