第168回新和会 講演会・総会・懇親会報告運営幹事:東京大学 准教授 富田野乃(1994年工業化学卒) 2019年11月9日(土)、第168回親和会総会・懇親会が東京大学本郷キャンパス山上会館にて開催されました。今年も多くの会員の皆様がご参加下さいました(70名出席)。 総会の前に著名な卒業生にご講演いただくという企画で、川崎市産業振興財団・ナノ医療イノベーションセンター(iCONM)の片岡一則センター長(東京大学名誉教授・特任教授)にご講演をいただきました。「夢を形に:ナノテクノロジーで創る体内病院」と題して、機能性ポリマーの設計・精密重合・自己組織化といった最先端のナノテクノロジーを駆使したドラッグデリバリーシステムの開発、抗ガン剤や核酸医薬を内包した高分子ミセルを利用したガン治療や再生医療などについてご紹介下さいました。川崎市のキングスカイフロントとよばれる研究都市では、国家プロジェクトにより多数の大学・企業・研究機関が集結して、ライフサイエンス分野を中心に世界最高水準の研究開発が進められているそうです。iCONMはこの取り組みを主導しており、「体内病院:ナノマシーン(高分子ミセル)が体中を巡り、知らない間に検出・診断・治療をする」を実現し、人が自律的に健康になれる「スマートライフケア社会」を実現することを目指していると伺いました。SF映画「ミクロの決死圏」のスライドを使って「体内病院」や「スマートライフケア社会」の世界観をご説明されていたのが印象的でした。ガンで歩けなかった犬が抗ガン剤ナノマシンによる治療で1週間で走れるまでに回復した動画ではとても明るい気持ちになりました。 総会は事務局長の津本浩平先生の司会のもと進められました。池田全徳会長から開会のご挨拶を頂いたのち、事務局の堀 雅文氏による会計報告がなされ、理事の退任と選任や親和会会則の変更などが満場一致で承認されました。 続いて懇親会は喜多浩之先生の総合司会のもと進行し、池田全徳会長と大久保達也研究科長によるご挨拶の後、斉藤泰和先生のご発声による乾杯でスタートしました。化学生命工学科長の鈴木勉先生から化学生命系3学科の近況報告が行われました。化学離れへの対策として駒場教養学部で理・薬・工・教養学部合同による「基礎化学」を開講したこと(大人気だそうです)、修士・博士課程の一貫研究プログラムの導入や最近設立された基金(国際工学人材育成基金、リーダー博士人材育成基金)などについてご紹介いただきました。その後、第6回親和会会長杯ゴルフ大会の結果報告が尾嶋正治副会長よりなされました。ビデオで当日のナイスショットも披露され、尾嶋先生が見事優勝されたことが報告されました。恒例のアトラクションは2004年卒運営幹事により企画されたクイズ大会「東大工学部化学2019?山上会館の改装工事終了記念と5号館改装工事の無事を祈念して?」でした。最後の問題が5号館1階の講義室の座席合計数で、津本先生が一番近い数字で優勝、次点の大友順一郎先生が準優勝され、純米吟醸赤門や東大キティファイルなどが入った豪華商品セットを獲得されました。大変好評で皆様楽しまれた様子でした。そして、宮山勝副会長の閉会のご挨拶でお開きとなりました。 ご講演では、日本がリードするナノテクノロジーや材料技術を基盤として、医薬工の融合分野でイノベーションが実現されている様子に感動しました。また、化学・生命系の近況を伺い、卒業生が専門性を発揮して世界の舞台で活躍する道筋が整えられているのは大変素晴らしいと感じました。短い時間ではありましたが、先生方や諸先輩方、同期や若い方達、各分野の第一線で活躍されている方々とお話しする機会が得られ、貴重で楽しいひとときを過ごすことができました。親和会の益々のご発展、会員の皆様のご健勝とご活躍をお祈りしつつ、報告とさせていただきます。 今回の運営幹事は、1994年卒の大友順一郎(東京大、運営幹事代表)・喜多浩之(東京大)・富田野乃(東京大)、2004年卒の坂本健(東京大)・原伸生(産総研)・岡本浩一郎(NEC)、が務めさせていただきました。
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